地方競馬のトップジョッキー・内田博幸騎手(大井)を講師に迎え、5月18日に教養センター(栃木県那須塩原市)で実施された候補生たちの競走実習。澄み渡った青空の下、当日は一般見学者のほか、報道関係者も含めて30人ほどが集まった。
超多忙を極める内田騎手は、当日の朝に現地入り。そのまま騎手服に着替え馬場に登場すると、すでに整列して待っていた候補生たちには緊張が一気に広がった。担当教官からの紹介に「よろしくお願いします!」と大きな声で挨拶すると、まずは記念写真を“パチリ”。内田騎手が終始見せるくつろいだ雰囲気に、やがて候補生たちの緊張も解け始め、次第にその表情は「全てを吸収してやろう」という面持ちに変わってきた。
競走実習は内田騎手による『模範騎乗』に始まり、第85期生9名を2班に分けてそれぞれ内田騎手とレースを競う『内田騎手招待競走I』『内田騎手招待競走II』の2競走(共に、右・ダート1300メートル)を実施。見学者には教官お手製の立派な“専門紙”が配られ、ファンファーレと同時に実況も流れるなど、本番さながらの演出でゲートが開いた。
レースは競走Iで6号馬の須藤優くんが、競走IIで1号馬の國分祐二くんが優勝し、内田騎手はそれぞれ3着、2着だった。
これらのレース映像をもとに、午後は内田騎手から騎乗法についての講義。鞭を持ち替える際には、ひざ下をうまく使って馬を操ることも必要といった、細かな指導が行われた。また、内田騎手の候補生(第49期生)時代の思い出として、一致団結した同期だったことや、当時すでに背筋が250Kg(85期生の最高は150Kg弱)もあり、その強靭な肉体で競輪学校へ研修に行った際、「競輪の選手にならないか」と真剣に誘われたことなども披露。また、講義の最後には、内田騎手から候補生へと励ましの言葉とともにゴーグルがプレゼントされた。
5月に入ってレースに乗らなかったのは今日が初めてという忙しい日々の中、「勝つことが何よりのストレス解消」と笑顔で語った内田騎手。この名騎手とプロとして同じ土俵に立つ日を目指し、85期生たちは残されたセンターでの日々を有意義に過ごすことだろう。
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