高知で一時代を築いたアラブの強豪・マルチジャガー(牡5歳)が、11月4日の福山第10レース「ふくやま美術館特別」（6着）を最後に引退した。
　オーナーのご厚意により、今後は地方競馬教養センター(栃木県那須塩原市)で、地方競馬の騎手を目指す候補生たちの訓練馬として過ごすこととなり、12月6日に無事入厩した。

凛々しい馬体で教養センターに無事到着したマルチジャガー

　マルチジャガーは言わずと知れた、高知が誇るアラブの王者。
　03年7月アラブ新馬戦でデビュー勝ちすると、同年11月から約1年間、重賞3勝を含む地元では負けなしの19連勝。その間で唯一、黒星を記したのは初遠征の福山「瀬戸内賞」(4着)。しかし、これも2度目の福山遠征となった04年「全日本アラブグランプリ」での7馬身差圧勝できっちりケリをつけ、名実共に同世代アラブナンバー1に君臨した。
　古馬となった05年以降は、1つ先輩のエスケープハッチ(牡6歳・高知)とライバル関係となり、一進一退の互いに引かぬ攻防戦を展開。脚部不安から出走を取消した今年10月の「尾花特別」では、エスケープハッチが地方競馬最多勝記録となる“47勝”を達成しており、マルチジャガーが出走していたら違った結果になっていたかもしれない。
　その後、マルチジャガーは福山 (那俄性哲也厩舎) へ移籍。しかし、1戦したのみで現役を退くこととなった。
　通算成績は52戦30勝、2着11回。生涯で掲示板をはずしたのは最後の1戦のみという、素晴らしい成績を残した。

　現在、既に教養センターでは、NARグランプリの04年、05年「アラブ最優秀馬」スイグン(牡6歳)が候補生たちの訓練馬として活躍しており、今年同センターで開催された初心者向けの乗馬教室「レディース乗馬in那須」では、参加者が乗ることもできた。
　マルチジャガーも訓練馬として、乗用馬として、これまでと同様に大活躍してくれそうだ。

候補生を背に障害飛越。スイグンは訓練馬としても優秀です