SPECIAL INTERVIEW

「2017ヤングジョッキーズシリーズ」
スペシャルインタビュー

戸崎圭太騎手(美浦)編

競馬界を代表する中央・地方のトップジョッキーに、「2017ヤングジョッキーズシリーズ」に参戦している若手ジョッキーへのエールをはじめ、ご自身の若手時代のエピソードなどを語っていただきます。
2回目の今回は、リーディングジョッキー3連覇中の戸崎圭太騎手のインタビューをお届けいたします。

(インタビュアー:秋田奈津子)

※インタビューは、2017年10月30日のものです。

3年連続リーディングジョッキーが語る4年目の挑戦

秋田
本日は、3年連続でJRA最多勝利騎手に輝いている戸崎騎手に色々とお話を伺ってまいりますが、まずは、ご自身の話題からお聞きします。10月15日に早くもJRA通算800勝を達成されましたが、この数字はいかがですか?
戸崎騎手
区切りの数字ですし、素直に嬉しいです。800勝という実感はあまりないのですが、”もっと早く達成できていてもよかったかな”という印象もあります。
秋田
2013年3月にJRAの所属騎手になり、毎年100勝以上を挙げています。そして、今年、4年連続のJRA最多勝利騎手のタイトルが懸かっていますが。
戸崎騎手
そこは目指しています!この間までトップ(勝利数1位)にいたのですが、「やはり甘くはないな」と。
秋田
ルメール騎手が一気に勝ち鞍を増やしたかと思えば、デムーロ騎手も猛追してきていますよね。やはり意識されていますか?
戸崎騎手
当然、意識していますね。ただ、実力から言ったらクリストフやミルコの方が上だと思いますけど、僕は3年連続でリーディングを獲ってきました。実力だけでなくサポートしてくれる周りの方の大きな力も合わせた総合力で勝負したいと思っています。
秋田
なるほど。やはり勝利数は気になりますよね。
戸崎騎手
何勝したいというのはありませんが、去年より一つでも多く勝ちたいと思っています。その上でリーディングを獲りたいと強く思っています。
秋田
ちなみに、まだレースは残っていますが、今年を振り返ってみてご自身の評価は?
戸崎騎手
前半は1番人気の馬に騎乗して25連敗してしまうなど、悔しい記録を残してしまい歯がゆい日々を送っていました。別に体調が悪いとかそういった訳ではありませんが、2着が多く勝ちきるまでには至りませんでした。自分がしっかり乗れていなかったんだなと思います。
秋田
調子を取り戻したのはいつ頃だったのですか?
戸崎騎手
夏前あたりから成績も上がってきましたが、自分が良くなったというより、”馬がよく走ってくれているな”と思いましたね。ただ、リーディングは獲りたいですが、やるべきことは一つで目の前のレースを大事に乗りたいと思います。

地方競馬&中央競馬を知る戸崎騎手が、競馬学校時代を振り返る

秋田
まだ2ヶ月ほど残っていますので、引き続き、リーディング争いに注目させていただきます。さて、本日は、今春より各地でトライアル戦が行われている『2017ヤングジョッキーズシリーズ』についてのインタビューということで、まずは、戸崎騎手の若手時代についてお聞きします。そもそもジョッキーを目指すキッカケは?
戸崎騎手
もともと競馬を知らなくて、中学3年生の頃、近所の方に「騎手という職業」がある事を聞いて、迷いもなく“やってみよう”と思いましたね。
秋田
迷いはなかったんですか(笑)
なぜ地方競馬の騎手を選んだのでしょう?
戸崎騎手
中央競馬と地方競馬とか知らなくて。出身が栃木県で那須に競馬学校があったことから入学しました。
秋田
多くの騎手が“競馬学校時代は厳しかった”という声をよく聞きますが、戸崎騎手はいかがでしたか?
戸崎騎手
厳しかったです。学校の行事以外で外出したのは2年で1回しかなかったと思います。なぜかというと、先輩が悪さしたり、時には自分が悪さしてその罰で外出禁止になったり。
秋田
でも十代だと遊びたい年頃ですよね。何を楽しみにしていたんですか?
戸崎騎手
楽しみは週一回の”お菓子”でしたね(笑)
ただ一回だけ、怒られたことがあります。ファンとの交流イベントがあってお菓子を頂いたんです。それを部屋に隠し持っていたのがバレてしまって。
秋田
大変だったんですね。
競馬の話題に戻りますが、戸崎騎手の同期と言えば船橋競馬の森泰斗騎手や佐賀競馬の倉富隆一郎騎手などいらっしゃいますが、今でも交流はありますか?
戸崎騎手
あまりないですけど、ついこの間、同期会があって思い出話で盛り上がりました。
秋田
そんな同期の森泰斗騎手がリーディングジョッキーとして大変活躍されてますが、どんな思いで見ていますか?
戸崎騎手
やっぱり嬉しいですね。同期が揃ってリーディングを獲れるっていうのは。
秋田
良き友であり、良きライバルでもある同期に対し、“ここだけは負けない“というのは?
戸崎騎手
一生懸命にやること!レースだけでなく練習など全てにおいてです。
技術においては自分より上手い人はいますから、気持ちで負けないよう心がけています。
秋田
昔と今では競馬の環境も随分変わったと思います。戸崎騎手から見て、「今の若手ジョッキーは良いな」と思うところはありますか?
戸崎騎手
競馬学校もそうですけど、規則が和らいだことですかね。ただ、昔は厳しかった分、根性や気持ちの強さを身に付けることができたと思います。

中央競馬GI初制覇の快挙!大井競馬で培った技術と忘れぬ周囲への感謝

秋田
ここからはレースについての話題です。
1998年、大井競馬の香取和孝厩舎に所属しデビューを迎えるわけですが、4月12日、大井競馬3Rでミヤサンヤシマに騎乗し、初騎乗初勝利という華々しいデビュー戦でした。
戸崎騎手
とにかく緊張しましたね。初騎乗で緊張していたのですが、さらに返し馬で落鉄してしまったんです。レースには間に合いましたが、初物づくしで何が何だか分からないままスタートしました。とにかく勝てて良かったです。
秋田
その後、2005年9月14日には、トゥインクルレディー賞で重賞初勝利(コウエイソフィア騎乗)を飾りましたが、当時の思い出は?
戸崎騎手
重賞制覇まで7年でしたから、”まだ勝ってなかったのか”と思うほどでした。
秋田
2006年から急激に勝利数が伸びましたが、何かキッカケがあったのですか?
戸崎騎手
それまで大井しか騎乗していなかったのですが、他の競馬場でも騎乗するようになって、依頼が増えた結果だと思います。
秋田
2007年にはアンパサンドで東京ダービーを初制覇しましたが、やはり“ダービー”というのは別格ですか?
戸崎騎手
緊張感が他のレースとは全く違いましたし、勝つ前は余計に気持ちが高ぶっていました。アンパサンドで勝った翌年以降は、すごく冷静に挑めるようになりました。
秋田
その東京ダービーを的場騎手がまだ…。
戸崎騎手
ぜひ勝ってほしいですし、勝つまで乗っていてほしいです!多くの人が感動すると思います。
秋田
2008年は、フリオーソに騎乗しダイオライト記念を勝利、ダートグレード競走初制覇。同年6月25日には、同じくフリオーソとのコンビで帝王賞を制し、統一GI初勝利を飾りました。この年は東京ダービーを連覇するなど大活躍でした。
戸崎騎手
重賞勝ちは素直に嬉しいですけど、それ以上に大きな自信に繋がりました。特にフリオーソでは川島正行先生のお陰でビッグタイトルを何度も獲得することができました。
秋田
この年から、リーディングジョッキーとして活躍されていた内田博幸騎手がJRAへ移籍しました。これまで間近で見てきていかがでしたか?
戸崎騎手
本当に素晴らしかったです。何より目標にしていましたし、今思えば真似して乗っていたように思います。
秋田
現在は、同じJRAの所属騎手ですが、内田博幸騎手とは色々とお話されるんですか?
戸崎騎手
僕の中では凄い存在の先輩なので、そんな気軽に話せないですよ。
秋田
ここからは中央競馬についてお聞きします。
2005年に初めて中央競馬で騎乗し、2009年以降はGIレースにも騎乗されました。そして、2011年にはリアルインパクトに騎乗し、初の中央GI勝利を飾りました。
戸崎騎手
気持ち良かったですね!GIレースに騎乗できるだけでも幸せなのに勝てるとは。ただ、当時は地方競馬の騎手でしたので、その日の交流戦の騎乗依頼をいただけたからこそ、GIでも騎乗できたわけですから、関係者への感謝の気持ちの方が強かったです。

中央競馬へ移籍、新たなステージへ挑戦!

秋田
中央移籍後には早くも「ユニコーンS」でベストウォーリアに騎乗し待望の重賞初勝利を飾り、その後は阪神ジュベナイルフィリーズや有馬記念などのGIも勝利しました。
戸崎騎手
GIレースは全てにおいて別格ですが、平場も重賞も関係なく目の前のレースを確実に勝っていきたいです。
秋田
残すところ今年も2ヶ月ほどとなりました。多くの競馬ファンが戸崎騎手の騎乗を期待していますので、ケガなく4年連続のリーディングを目指していただきたいと思います。続いては、今後の競馬界を担う若手騎手へのアドバイスとして、戸崎騎手にお聞きします。騎手を長く続けるにあたり、日ごろから気を付けていることはありますか。
戸崎騎手
この年齢になって食事に気を付けるようにしていますが、的場さんを見ると、やっぱり「気持ち」が大事だと思いますね。”勝ちたい””乗りたい”にこだわってほしいです。

シリーズ参戦中の若手騎手へ

秋田
若手騎手だからこそ、”今”できること、やった方が良いことはありますか?
戸崎騎手
海外は刺激になるかと思います。今年初めて行きましたが僕自身、良い経験になりました。技術面でも精神面でも自分の引き出しが増えると思うんです。
秋田
最後となりますが、『2017ヤングジョッキーズシリーズ』に参戦中の若手騎手へ、エールをお願いします。
戸崎騎手
このシリーズは僕たちの時代になかったことなので、全国の競馬場で騎乗できることは非常に良い経験になると思います。この経験を無駄にせず、色々と学んでほしいです。
秋田
本日は有難うございました!
戸崎騎手
有難うございました!


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