◆サラブレッド2歳最優秀馬 フリオーソ(船橋) |
2006年の全日本2歳優駿(GI)は、北海道2歳優駿(GIII)のトップサバトン、エーデルワイス賞(GIII)のパラダイスフラワー、兵庫ジュニアグランプリ(GIII)のトロピカルライトとタイトルホースすべてが顔を揃え、まさに2歳ダートの最高峰に相応しい一戦となった。そして、この最高の舞台で楽勝劇を演じたのがフリオーソである。席上、まったく異論の余地のない、満場一致での選定となった。
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◆サラブレッド3歳最優秀馬 チャームアスリープ(船橋) |
2006年にグレード競走勝ちがある地方競馬所属の3歳馬は関東オークス(GII)のチャームアスリープ1頭。同馬は地区重賞の桜花賞、東京プリンセス賞も制し、初の南関東牝馬三冠を達成した。秋にやや順調さを欠いたのが惜しいところだが、グレイスティアラを差し切った関東オークスのレース振りは、相当な可能性を感じさせるものだった。
この部門では、他にジャパンダートダービー(GI)3着のオウシュウクラウン(岩手)、ダービーグランプリ(GI)3着のサイレントエクセル(岩手)らが候補にあがったが、GII優勝というタイトルの重みを上回るまでの評価は難しく、最終的にチャームアスリープが満票での選定となった。
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◆サラブレッド4歳以上最優秀馬 アジュディミツオー(船橋) |
上半期にGI3勝(川崎記念、かしわ記念、帝王賞)のアジュディミツオーと、年間1勝ながら、その1勝が地方競馬所属馬として初の海外でのパートTのGI制覇であるコスモバルク(北海道)の2頭が候補となった。
活躍の舞台がまったく異なる両馬であるが、部門賞として別に最優秀ターフ馬が設けられていることからも、この部門でのウエイトは地方競馬を中心としたダート競走に置かれることになり、アジュディミツオーが満票での選定となった。
年間GI3勝は、地方競馬所属馬では1998年のアブクマポーロ(川崎記念、帝王賞、東京大賞典)以来の快挙であり、特に一騎討ちの末、カネヒキリを降した帝王賞は、最大級の賞賛に値するものである。
なお、同馬はこの部門2年連続、2004年のサラブレッド3歳最優秀馬をあわせると3年連続での最優秀馬選定となる。
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◆アラブ最優秀馬 キジョージャンボ(愛知) |
在厩頭数の減少を受けて、すでに全日本規模でのチャンピオン決定が行われにくくなっているこの部門は、地方競馬のアラブの7割が在籍する福山で活躍したラピッドリーラン、愛知でサラブレッド相手に重賞を制したキジョージャンボの2頭に、該当馬なしという選択肢も含めた議論となった。
まず2頭の比較では、名古屋大賞典(GIII)への地区のステップ競走である梅見月杯などサラブレッド相手に4勝し、降した相手にヨシノイチバンボシ、マルカセンリョウ、タフネスゴールドらが含まれるキジョージャンボが高く評価された。
一方、最優秀馬として選定するまではどうかという意見も根強く、“キジョージャンボ”または“該当馬なし”の2択でおこなわれた票決の結果、キジョージャンボが選定された。
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◆ばんえい最優秀馬 アンローズ |
3月にばんえい記念を制覇し、最高峰競走4連覇の偉業を達成したスーパーペガサスだが、2006年は結局この1勝に終わり、6月以降は裂蹄のため出走がかなわなかった。
一方、牝馬のアンローズは帯広コースが苦手でばんえい記念では完走できなかったが、他の競馬場ではコンスタントに好成績を残し、岩見沢記念、北見記念、ばんえいグランプリの重賞3勝を含む7勝をあげた。
一年を振り返ったとき、ばんえい競馬をリードした馬として思い浮かぶのはアンローズであるが、最高峰競走というタイトルの重みは軽視できない。困難を極めた選定は最終的にこの2頭での票決となり、1票の僅差をもってアンローズに軍配が上がることとなった。
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◆最優秀牝馬 チャームアスリープ(船橋) |
エンプレス杯(GII)のローレルアンジュ(船橋)、関東オークス(GII)のチャームアスリープ、そしてグレード競走実績はブリーダーズゴールドカップ(GII)の4着のみであるが、牡馬相手に道営記念などを圧勝したサンマルアンサー(北海道)が候補にあがった。
ローレルアンジュは年間3走しかできなかったが、負かした相手はレマーズガール、グラッブユアハート、ジーナフォンテンら牝馬の一線級である。またサンマルアンサーも、バンブーボカやタイギャラント相手の勝利があり価値は高い。
それでも、後にGI馬となるフレンドシップを破るなど、その時点で3歳ダートのトップに立っていたグレイスティアラを差し切った関東オークスの評価はやはり高く、初の南関東牝馬三冠という記録に対する称賛もあわせて、チャームアスリープを推す意見が大勢を占めることとなった。
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◆最優秀短距離馬 ネイティヴハート(船橋) |
デビューから一貫して芝の短距離競走中心のローテーションが組まれてきたネイティヴハートは、2006年にJRA中山のオーシャンステークス(GIII、1,200メートル)を後方一気の末脚で優勝。それも、直線での馬群を縫ってのごぼう抜きで強烈な印象を残した。
同馬は、続く高松宮記念(GI、1,200メートル)でも僅差の5着、秋にはセントウルステークス(GII、1,200メートル)で3着となるなど、中央への挑戦を続けながら我が国の短距離界のトップクラスの1頭として一年を送った。
一方で、ダートで活躍した短距離馬として、かきつばた記念(GIII、1400メートル)1着、黒船賞(GIII、1400メートル)2着のロッキーアピール(川崎)がいたが、ネイティヴハートの牙城は揺るがなかった。
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◆最優秀ターフ馬 コスモバルク(北海道) |
2006年は、パートTのグレード競走、それも海外でのGI競走を初めて地方競馬所属馬が勝った年として記憶されることになる。
5月、シンガポールのクランジ競馬場で行われたシンガポール航空国際カップ(GI)に出走したコスモバルクは、直線で力強く抜け出して優勝。念願のGI制覇を国際舞台で達成するという偉業を成し遂げた。
同馬は他にも天皇賞・秋(GI)、ジャパンカップ(GI)でともに4着となるなど、芝の一線級として確固たる地位を築いている。この部門には他に最優秀短距離馬に選定されたネイティヴハート(船橋)がいたが、満票でコスモバルクが選定された。
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◆年度代表馬 アジュディミツオー(船橋) |
サラブレッド4歳以上の最優秀馬に選定されたアジュディミツオーと、最優秀ターフ馬に選定されたコスモバルク(北海道)――2004年に年度代表馬の座を争ったこの2頭が、それぞれに実績のスケールを拡大して、再びその座を争うこととなった。
アジュディミツオーのダートGI3勝の快挙は、前年王者のカネヒキリと死闘を演じた帝王賞が含まれているだけにその価値が高く、また、コスモバルクのシンガポール航空国際カップ(GI)も、地方競馬所属馬初の国際競走優勝というまさに偉業である。
ともに地方競馬の2006年を代表するに十分以上な成績であることに疑問の余地はない。選定する立場には、この2頭のどちらを選ぶにしても、必然的にどちらかが選に漏れるという当たり前の事実が重くのしかかる辛い選択となったが、票決に持ち込まれた最終決着は、4票差でアジュディミツオーに年度代表馬の称号を贈るものとなった。
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◆特別表彰馬 ブルーコンコルド(JRA) |
前年のJBCスプリントでGI馬の仲間入りを果たしていたブルーコンコルドだが、2006年の秋にはさらに本格化の度を加え、マイルチャンピオンシップ南部杯、JBC(マイル)、東京大賞典と、地方競馬で施行される秋の古馬GI競走完全制覇を果たした。特にこれまで活躍の舞台が1,400〜1,600メートル中心であった同馬にとって、ダートの選手権距離とされる2,000メートルの東京大賞典での完勝は、その評価を大いに高める要因となった。
地方競馬の年度代表馬となったアジュディミツオーと並び称される存在として、2006年のダート競走界を牽引し、地方競馬の競走の充実に果たした役割は計り知れないとの賛辞を集め、特別表彰馬に選定された。
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